精進落としは、故人をしのびながら、参列者への感謝を伝える会食です。しかし、具体的に何をするのか、どんなマナーがあるのかを詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。この記事では、精進落としの意味から基本的な流れ、マナーまでをわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
精進落としとは？
精進落としとは、初七日法要や火葬後に催される会食のことです。参列した僧侶や親族、関係者への感謝の気持ちを込めて振る舞われます。もともとは仏教の教えに基づき、肉や魚を控える精進料理から日常の食事へ戻るという意味がありました。しかし、現代では葬儀の一区切りとしての役割が強まり、火葬後や初七日法要の後に行われるのが一般的です。
精進料理でなくともよい
現在の精進落としでは、必ずしも精進料理にこだわる必要はなく、寿司や刺身、煮物、天ぷらなどが並ぶことも一般的です。ただし、祝い事を連想させる鯛や伊勢海老といった食材は避けるのが無難です。料理は、参列者の年齢層や好みに合わせて選ぶとよいでしょう。幅広い世代が集まる場では、万人に受け入れられる味付けや食材を意識することが大切です。
また、アルコールを含む酒類やビールのほか、お茶やジュースなどを用意すると参列者にもよろこばれます。
葬儀後の精進落としの流れとタイミング
精進落としは、一般的には、初七日法要のあとに執り行われる会食のことです。そのため、葬儀と初七日法要を同じ日に行うかどうかによって実施日は異なります。そして近年では、葬儀と初七日法要を同日にまとめて行うケースが増えています。この場合、火葬後に引き続いて精進落としが実施される流れです。
一方で、初七日法要を別の日に行う場合は、僧侶や親族の都合をふまえ、無理のない日程を調整することが大切です。ここでは、精進落としの流れについて解説します。
会場検討
日程が決まったら、精進落としの会場を検討しましょう。自宅や斎場で仕出し弁当を用意する方法もあれば、料亭やレストランでの会食も選択肢のひとつです。また、火葬場に併設された待合室で実施することもあります。これらの選択肢は、会場の規模や参列者の移動負担を考慮して選びましょう。
出席者の確認
出席者の確認も重要です。精進落としは僧侶と親族のみで静かに行うことが多いですが、火葬場で開催する場合は、お骨上げまで立ち会った参列者にも振る舞うのが一般的です。親しい友人や職場関係者を招くこともあり、地域や家の考え方によっても異なるため、事前に家族で方針を決めておくと安心です。
料理を決める
料理は年齢層や好みに応じて、幅広く選ばれるメニューが望ましいです。また、人数が確定していない場合は、大皿のオードブルや寿司で柔軟に対応するのもよいでしょう。事前に業者側に確認しておくとスムーズです。着席・あいさつ・献杯
参列者が着席する際は、席次表を掲示するほか、各席に名札を置いておくと混乱を防げるでしょう。着席後、喪主または親族代表が参列者への感謝を述べ、会食開始のあいさつとします。その後、献杯と呼ばれる、故人への敬意を表す乾杯が実施されます。これは祝いの場とは異なり、静かな声で「献杯」と発声し、杯を軽く持ち上げるのが作法です。献杯のあとには、黙とうまたは合掌を捧げ、故人をしのびます。
会食開始
施主が食事を促して会食が始まります。食事中は、施主や親族が各テーブルを回り、お酌をしながら改めてお礼の言葉を伝えることが多いです。故人の思い出を語りつつ、穏やかに過ごしましょう。過度な飲酒や大声での会話は避け、節度ある態度を保つ必要があります。
会食終了
会食が進んで1〜2時間ほど経過したら、喪主や代表者による締めのあいさつにより、精進落としの場は終了します。精進落としの準備から挨拶などの守るべきマナー
精進落としの際には、ふるまいに配慮することが大切です。ここでは、精進落としの際のマナーについて解説します。席順
まず意識したいのが席順です。一般的に、最上座に僧侶が位置し、その近くに葬儀を取り仕切った世話人、故人と関わりのあった職場関係者や友人・知人、親戚が順に座ります。最後に、入り口に近い末席に、遺族や喪主が座るのが基本的な配置です。感謝を伝える
会食が始まったら、遺族や施主は参列者のもとを順に回りながら、一人ひとりにていねいにお礼を伝えます。あいさつを依頼しておく
献杯のあいさつを依頼する場合は、できるだけ事前に依頼しておくのが望ましいです。突然の依頼では準備が整わず、引き受ける側に負担がかかります。喪主以外の方があいさつを担当する場合も、当日の進行をスムーズにするために早めに打診しておきましょう。
早めに切り上げる
精進落としは、故人をしのぶ静かな場であり、長時間の会合は避けるべきとされています。通常、会食は1〜2時間程度で終了するのが適切です。お酒が入って会話が弾むこともありますが、葬儀を終えたばかりの場であることを忘れないようにしましょう。
